2014年11月22日土曜日

「難民高校生」「女子高生の裏社会」を読みました



たまには医学書でない本も読みます。





「難民高校生 絶望社会を生き抜く『私たち』のリアル」


著者の仁藤夢乃さんは

  すべての少女に「衣食住」と「関係性」を。

を掲げて、

女子高校生サポートセンターColabo(コラボ)を立ち上げ、活動している方です。


ご自身が、高校時代は渋谷で過ごす「難民高校生」だったとのこと。

街をさまよう高校生を

家族や学校、社会とのつながりが断たれていると述懐し、

「貧困」の連鎖にまさにおかれている状態であると分析しています。


本書のなかでも紹介されていますが、

ここでいう貧困とは、

湯浅誠さんのいう 「溜め」のない状態 を指します。

決して金銭的欠乏だけが貧困じゃないんですよ、ってことです。


詳しくは湯浅さんの「反貧困」を読んでください。

私は大学1年生の時に読んで非常に衝撃を受けました。

これほどまでに現実を深くとらえ、分析し、未来を構築することのできる人がいるのかと。




「難民高校生」をはじめとする、生きづらさを抱えた人たちを

自己責任で片付けてしまうのは、

個人的には全く好きではありません。

生きづらさの原因は、家庭や学校の環境に留まらず、

金銭的な問題にあったり、

なかには疾病によると思われる場合もあるでしょう。

本書にも様々なケースが出てきます。


さらなる「貧困」の連鎖に陥らせないために、

自分にとって目障りな存在を視界の外に追いやらないために、

ここら辺のさらに突っ込んだ分析は、「女子高生の裏社会」で広げられています。




いわゆる「JK産業」に取り込まれている高校生たちは

けっして特別な存在などではないということ。

問題の責任はつねに社会の側、大人の側にある、

搾取する側がつねに糾弾されるべきであるということ。


公的(つまり表社会)の支援は、使いづらくよそよそしく

なんちゃってセーフティネットが裏社会にしか存在していない。


生きづらさを抱えている人、悩みを抱えている人を

私たちが遠巻きにしてあっちいけとするたびに、

その人たちは「きれいな表社会」から隔絶されていき、

表からは見えない「闇」におちていく。



高校中退者数:年間約5万5千人

不登校者数:(中学)年間約9万5千人(高校)年間約5万6千人

10代の自殺者数:年間587人

10代の人口中絶件数:1日57件

子どもの貧困6人に1人、虐待、ネグレクト、いじめ、家族関係、友人関係、性被害・・・・・

(Colaboのホームページより引用)



健康を脅かすのは、なにも病気に限ってはいない、というお話でした。